滝沢美音(たきざわみね)

[2017年2月卒業]

卒業式で自分の名前が呼ばれたとき、びっくりして座っているのに飛び上がってしまった。自分が卒業できるとは思っていなかった。卒業証書を受け取ったときもまだ頭のなかは真っ白だった。卒業するときにはもっと淡々としていたいと思っていたのに、やっと落ち着いて答辞をしゃべりだしたら、無性に悔しくなって泣いてしまった。

あんまり、いい形での卒業ではなかったと思う。それまでのレッスンは酷いものだった。同じ事を繰り返し、同じダメが続き、やり方を変えろと言われ続けた。わたしに出されるダメのほとんどは、言われたことを正しくやってこないことが原因だった。入所したときからもうずっと言われていることだった。たまたま発表会前の最後のレッスンを前にして、やっと言われたことをやってきてコツをつかみ、たまたま卒業してしまったのだった。

卒業するまでに長い年月がかかってしまった。それは不器用だとかそういうことなんかより、なにかを必死でつかもうとする執念とそれを為すための努力が足りなかった、というか、なかったからだと思う。やめるよりゆっくりでも続けた方がましである、なんて私は決して言えない。ほかの同期やあとから入った人たちもみんな私よりもはるかに早いスピードでカリキュラムをこなし、さっさと卒業してしまった。それは当たり前だけど、その人たちがみんな、私より必死になってレッスンを受けて、練習して、たくさんの工夫をしてきたからで、なのに、その事実を私はずっと認められなかった。本当に情けない。そういう弱い自分を見つめていれば、もっと早く、もっと納得できる卒業ができたのかもしれない。

そんな訳で、卒業はできたとはいえ素直に綴っていたら、あんまりキラキラしていない、ネガティブな卒業文になってしまいました。私はまだ、スタート地点にも立っていなくて、やっとスタート地点の場所がわかったというところにいます。それもまだ確実に手にした訳でもなく、きちんと自分のものにしていかなくてはならない。長くレッスンに通っていたのにこんなにも身に付いていないのは恥ずかしいです。でも、遠回りした分、まっすぐ、誠実でありたいです。(0022)